例会・研究会ダイジェスト 【講演】
「e Dreamの実現に向けて〜ソニーのeビジネスの戦略について〜」
株式会社エンタテインメントプラス 代表取締社長 立花 雅夫氏

オーディオの商品企画に携わった時代

 次に大曽根という前の副社長から声がかかりまして、CDプレイヤーやウォークマンの商品化に商品企画課長として携わりました。今度は売れる、売れる。ラジカセというのは大変なものでして、1機種起こしますと、1年に100万台売れるのです。だから金型の回収も簡単でした。当時はLPレコードからCDに切り替わる時でしたが、なかなかCDに替わっていかない場面がありました。そこで10万円していたCDプレイヤーを、思い切って小さくしまして5万円で出しました。ディスクマンというポータブルCDの走りでした。この影響でLPレコードとCDの比率が半々になりまして、2年くらいでLPは店から姿を消しました。

 レコードの時代にはドーナツ盤という45回転のシングル盤がありました。これをCDではどうするかということになりまして、8センチCDを出そうと私どもが企画しました。ところがレコード会社としては、よけいなものを増やすと物流が大変になる。12センチCDに1〜2曲入れて、同じ形態で生産してもらえれば助かるし、ケースも新たに起こさなくてもいいという発想でした。討論の上で私達が押し切りまして、今、8センチCDは非常にポピュラーになっています。ただあるのは日本だけで、アメリカ、ヨーロッパではトライしましたが成功せず、12センチのCDに1曲か2曲入れて安く売っているのが現実です。ソフトとハードが車の両輪としてうまく回るということは、難しいこともあります。

ブロードバンド時代へ

 ソニーはCDプレイヤーを作って、CDのミュージックであるパッケージメディアを売り、それでハードとソフトの両輪でやっていくというのが方針です。またトリニトロンのテレビを持っていましたので、映画会社を買収しまして、ソニーピクチャーズという会社を作りました。ところが映画を作ってテレビで放送という単純な図式ではなかなかやっていけません。そこで、数年前に社長になりました出井が、コンピュータの領域に力を入れていたこともあり、「ソニーはネットビジネスを中心とした企業に生まれ変わるんだ」と宣言いたしまして、今はその途上、半ばにあります。

 出井がこの方針を進めましてから、グループの中にずいぶんネットに関する企業が出てまいりました。イープラスもその一つですし、ポストペットで有名なプロバイダー「so-net」もその一つです。ポストペットは女性のインターネットへの興味を引き出す大きな役割を果たし、会員は100万人になりつつあります。最近手数料が安いインターネットの株取引ということで「マネックス証券」を立ち上げました。新聞市場でにぎわしていますが、さくら銀行と提携しインターネットバンクもやろうとしています。一番大きい転換はソニーの商品を売る販売会社「sonystyle.com」を作りまして、webで直接お客様にソニーの商品を売ることができるようになりました。またプレステーションをインターネットで売るという子会社もできています。
これらの会社のビジネスでは全て課金という問題がございますので、会員制度をとっています。お客様は無料で会員になっていただき、将来またお買い求めになるときのためににクレジットカードの登録などをしていただきます。いろんな分野におきまして、私どもでは会員をため込みまして、会員を相互利用していこうと考えています。これが将来お客様を広げていくキーではないかと考えています。映画、チケットオークション、保険、音楽、ゲーム、旅行、ショッピングこれらのビジネスで、それぞれで会員を集めていきます。例えばeプラスのチケット会員ですと、4月から50万人集まっていますが、この会員がソニーのMDウォークマンを買わないとも限らない、保険を契約されるかもしれないのです。

 2年後にはブロードバンドのテクノロジーがもっとポピュラーになることでしょう。双方向の映画を見たいのなら、インターネットですぐその映画が見れるようになる。つまりブロードキャストとインターネットの区別がつかなくなるという「ブロードバンド」です。今はまだ、ナローバンドで、実際のオペレーションにもイライラすることがございますが、ブロードバンドになると一気に解決するとともに、映像もきちんと送れるようになります。

 それを実現することが、本日の本題となっている「eドリーム」で、今までと違った領域で大きく商売していこうという目論見を持っています。私どものエンタテインメントプラスという会社は、その中の一つの位置づけであり、エンタテインメントの部分のお客様を持っています。このような囲い込みをやっていくことで、シナジー効果をあげていくというのが、私どもの夢です。

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