例会・研究会ダイジェスト 【Part2】
企画いただいた北陸電力の谷口さんから、今回の意図
住みたい富山研究所 谷口 新一
http://www.exe.ne.jp/~npp/

 私も自分で富山県の街づくりのホームページを持っていますが、本日ご紹介した4人のみなさんのホームページに共通するのは、「参加型」であることです。北陸電力のホームページは参加型ではありませんし、行政でも高岡市や入善町のホームページには掲示板のページはありますが、参加型のものはありません。また北陸電力では「北電ブランド」を確立しようとしているのですが、私としては別の方向の「お客様参加型企業」「シナジー・コラボレーション型企業」の二つを提唱しています。
 当社にとっては全てのご家庭がお客様でありながら、いまだone to oneの仕組みができていません。そこで登録型にしていくことで、これからone to oneの関係ができると思っています。今からのビジネス、企業にとってこうした参加型あるいは登録型のシステムが非常に大切になってくると思います。ではなぜ参加し、登録するかといいますと「共感」というキーワードがそこにあるわけです。4人のみなさんのやっていることは、「共感」に通じるものがあると感じて、eビジネス研究会に4人によるパネルディスカッションをご提案したわけです。


【Part3】パネルディスカッション

岸:4人の方のお話と谷口さんのお話を伺っていても、「まずインターネットありき」ではないということがわかります。「自分たちの発信したい内容があって、そこにインターネットというツールがあった」ということでしょう。
私はやはりどこかで「インターネットでビジネスにならないか」と考えているわけで、ここでは4人の方のご意見をあえてまとめることはしないでおきましょう。
それでは質問しましょう。前佛さん、アドレスはなぜ「.to」なんでしょうか。
前佛:では、なぜ最近の企業は「.com」なんでしょうか? toは短いし、誰もとっていなかったのでとりました。トンガのドメインです。

岸:中田さんのページで「日本海ダクト」というのがありましたが、説明していただけますか?
中田:よくテレビで「ただ今、外国電波が混信して画像が乱れています」と表示されますが、この現象を日本海ダクトといいます。これが出ますと、通常は入ってこない北海道や九州の電波が入ってきます。日本海側で出る「異常電波現象」を「日本海ダクト」と言っています。日本海ダクトについて紹介しているサイトがないので載せています。アマチュア無線をされる方にとっては、「今日日本海ダクトが出る」という情報は非常に重要だと思います。

岸:皆さんそれぞれのサイトを見てもらうためにどんな工夫をされていますか?
三好:基本的に口込みでやって行こうと思っています。サイトを作るにあたって、人と会って、話を聞く中で心を開いてもらう。その中で評判の原型を作っていけたらと考えています。
中田:自己満足に終わってしまってはいけないのですが、基本的に告知は行っていません。
横田:広報活動は行っていません。アクセスは口コミできわめて順調に伸びています。今では1ヵ月で3000です。潜在的な読者は富山高校の卒業生2万数千、また富山高校を目指している中学生の方にも見られているようです。中学校の進路教材にも使われています。
前佛:私の場合も、ほとんどが口コミかリンクだと思います。始めたのは97年の暮でほとんどアクセスはなかったのですが、いつの間にか増えていったというのが正直な感想です。
アクセス数をふやしたかったら、見たい人の見たい情報を集める工夫が必要でしょ う。企業に提案したいのですが、同じ業種同士が相互にリンクしてはどうでしょうか。ポツンポツンとあるのではなく、あえてライバル企業とリンクしたらどうでしょう。もっとつながりを持たせた方が絶対にいいと思います。ICQ道場は、有名なサイトとリンクさせてもらったことで、アクセス数が急増してしまい、紹介先のサイトのアクセス数が逆転してしまいました。あえて競争の環境を作りだしていくことが、結局は消費者の利益につながっていくのではないでしょうか。

岸:非常に示唆に富んだ意見ですね。さて、インターネットを使ったビジネスはこれから発展していくものでしょうか。
前佛:個人的には難しい段階に入ってきたと考えています。サイトを作ってもテレビなどの媒体を使って、告知しないと見てもらえないという状況が生まれつつあります。

岸:確かにそうですね。インテックが中心になって、車の「オートバイテル・ジャパン」というサイトを立ち上げていますが、システムにかけた3倍も4倍もの資金を、テレビ、雑誌、新聞など既存の媒体に使っているというのが現状です。
前佛:非常にまずい状況です。せっかくインターネットを使って無料で情報を流せるのに、何で広報にお金を使わなくてはいけないのでしょうか。昔、情報はただだったはずです。いつから変わってしまったのでしょう。インターネットは注目度は高いわりには、テレビやラジオのオマケという感じで、注目度の割には重要視されていないような気がします。

<会場から質問>

中島:県内にも元気のいい人達が、若い人も年配の方もホームページを立ち上げられています。サイト同士の面白い横のつながりというのはあるのですか。
中田:三好さんとは前から知り合っていまして、夜中まで話し込む仲です。
横田:前佛さんには、「ね!とやま」のホームページからリンクを張ってもらっています。ICQ道場については、富山の方とは知らず、有名なサイトとして知っていました。
岸:がんばっている人間が横でつながるというのはいいことですよね。
三好:富山という共通項があるので、ネット上で名前を知ったあと、直接集まって何かを始めれたら、と常々思っていました。
岸:富山でまとまるのがいいのか、どこでまとまるのがいいのか、それには結論がないかもしれません。インターネットというあまり場所を選ばない手段だけに、たぶん自然発生的に広がりをもって、まとまることが期待できるのでしょう。よく富山地域に限定する会合や活動に参加していますが、限定することにどんなメリットがあるのか、とふと自己矛盾に陥ることもあります。
岸:最後に現在の日本を背負って頑張っている30代、40代、50代に激励の言葉、あるいは提案をお願いします。
横田:若い世代をどうぞ使ってください。東京に「ETIC.(http://www.etic.gr.jp/)」という企業と学生を結びつける団体があるのですが、そこで少し活動をしたことがあります。インターンシップなどの制度を使って、学生や若い人の雇用をどうぞ考えてください。
中田:「最近の若い者はわからん」と宴会で部長によく言われるんです。若い人には何でも聞いてください。それぞれの考え方でお話を返していきます。酒の席ばかりでなく、今ではインターネットというつながりがあるので、年齢という格差もなくなくなってきています。若者とコミュニケーションをとって、ホットな意見を反映していただければと思っています。
三好:技術ももちろん大切ですが、最終的には、「人対人」「人情対人情」で、いかに心に訴えるかです。若者が自由に、その才能や自分のやりたいことを開花できるための環境を作ってほしいと思います。
前佛:「IT」 や「eコマース」という言葉が流行する前に「マルチメディア」という極めて謎な言葉がありました。ですから今騒がれている「IT」 や「eコマース」もあとになると「一体あれは何だったんだ」ということにもなりかねません。インターネットはツールです。コミュニケーションのための道具なんだととらえることが大切だと思います。

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