例会・研究会ダイジェスト 【講演】
「人、情報、カネ、モノの新しい循環」
日本海ガス株式会社 取締役社長 新田八朗氏

■人について

◎NPO(Non Profit Organization)
 法律に基づいて、企業のような利潤を追わない組織、NPO法人が今、富山でも10以上できています。最初に富山で認証を受けたのは「この指とーまれ!」という高齢者の介護の法人です。公共サービスを役所に頼ってきた分、国民負担率があがってしまい、ここで期待されているのが、お役所以上に良いサービスをより安くというNPOの活躍です。  富山県の場合ほとんどが高齢者の介護や、障害者の介護に目的をもったNPOです。他府県では、演劇、オベラ、街づくりといった分野で NPOがふつふつと浮き上がっています。より一層自分のやりがいを感じながら、働ける、そんな場としての役割が期待されています。またより大きなビジネスとしての発展も期待できます。  アメリカのナスダックに公開している企業でその3分の1は何らかの形でもとNPOだったということです。ボランティアはあくまでも一時的ですが、NPOはより専門的に継続的にやることが特色です。「地域の福祉に役立ちたい、地域の文化の向上に役立ちたい」という一人ひとりの思いがあって、これを今繋ぐのが「インターネット」と言えます。ネットの力で、それぞれの興味のある分野で、人が集まっていくのです。


◎雇用の流動化
 今失業率は5%で、日本では非常に悪い数字が続いていますが、一方で足りない分野あるいは地域もあるわけで、雇用のミスマッチと言えます。それを調整するのにもネットワークが有効です。

◎教育
 これからの教育はインターネットなしでは立ち行かなくなります。米国では今年中に公立学校の全教室にインターネットが繋がるようになります。日本の場合は、来年度中に全公立学校にインターネットが繋がるということです。全教室は2004年とも2005年とも言われています。インターネットを理科や社会に使っていく。授業が世界につながることで、新しい日本人がインターネットのつながった教室から生まれていくと期待しています。


■情報について

◎情報公開
 「企業と市民と行政のパートナーシップ」ということがよく言われますが、これはお互いの情報をよく知り合い、相互理解するところからまず生まれてくると思います。これからの街づくりは市民がパートナーになっていかなくてはいけない。ITによって、大量の情報が低コストで手に入るのです。
 東京都ではこれを大いに活用していまして、ネット上で担当者と都民が政策を練り上げて、キャッチボールをしながら会議をしています。メールソフトとホームページが一体となった役所のビジネスモデルです。
 例えば「早稲田商店街の活性化」というテーマについて、行政の人や都民が入ってきては話をしていく。こうした政策の発電機(ダイナモン)がすでに行われているのです。面と向かってする会議以上に質の高いものが期待できたりするのです。


■カネについて

◎ファイナンシャル・エンジニアリング
 米国で最も活躍しているNGOでは、ネットで一人5ドル以下の寄付で、数百万ドルを集めているということです。金融ビッグバンによって、私どものメインバンクもアメリカ系の銀行になりました。複雑な金融商品もITの技術があるから売れるわけで、「ファイナンシャル・エンジニアリング」が大きな役割を果たしています。
 大きな銀行の合併も本当をいうと、コンピュータ投資に耐えるためと言われています。一般企業でも、財務の運用のために、ファイナンシャル・エンジニアリングが大切ですし、行政でも大量の国債を発行しているわけで、ここでもITの技術がなければ立ち行かないのです。


■モノについて

◎フィンランドの自販機
 フィンランドは、世界で一番携帯電話が普及しているのですが、自販機に書いてある電話番号を携帯からかけると、コーラが出てきて、代金は通信料に加算されます。携帯電話が単に音声を伝える通信手段ではなくなっているのです。

◎アマゾン・ドット・コム
 eビジネス界で有名な本の販売の「アマゾン・ドット・コム」ですが、来年の1月か2月で資金切れの予想がでています。同社の凄かった点は、商品の選択、発注、課金までをワンクリックできるビジネスモデルを構築した点でした。どんな巨大な本屋でも出版されている本のせいぜい数%しか置いていない。これをネットなら全てが扱える、ということで本を選んだのです。
 しかし本はリアルなものでして、それを届けてお金をいただくという部分、物流の部分が不十分であったのです。


■まとめ

 米国では、2004年にはBtoB市場が約300兆円になるといわれています。日本でも、eビジネスに未だかかわっていない企業が数百万社あるわけで、インターネットをどう使って企業経営を効率化していくかがポイントになってきます。新しい循環を始めるには、ネットの世界でも物流をないがしろにしては不十分です。ネットで入札も始まっています。規制緩和で一個人でも入札でき、設計はアメリカの設計事務所に頼み、資材はメキシコから、施工は一番安い会社をネットで調べて使うということだって、考えられるのです。昨日までの常識がなかなか通じないということもあるでしょう。
 130年前わが国の先輩達は、「人、情報、カネ、モノ」を使って立派に成果をおさめました。明治維新になくて、今あるものは、「インターネット」です。これを有効に活用することで、今「人、情報、カネ、モノ」が一層、循環していくのではないかと思います。

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