日本経済の原動力といわれる中小製造業。その中小製造業相互のネットワークを構築し、受発注に関するさまざまな情報提供とモノづくりに必要なノウハウを公開し、中小製造業の活性化と情報化に向け支援するサイト「エヌシーネットワーク」。今回お話をお聞きしたのは、 株式会社エヌシーネットワーク 代表取締役社長 内原康雄さんです。内原社長は現在35歳、葛飾区で実際に工場を営む「内原製作所」の3代目だそうです。(内原氏の祖父、内原重吉氏は、内原製作所の創業者で富山県高岡市木町のご出身です。)
〜設立の経緯〜
エヌシーネットワークは、1997年、30〜40歳の若手経営者(2〜3代目)の製造異業種9社が東京都労働経済局の支援を受け、NCネットワークグループを発足したことからはじまる。イントラネットを構築し、主にCAD/CAMデータを中心に、社内LANをインターネット上で結び図面データの送受信を実現した。そして、1998年2月に株式会社 エヌシーネットワークを設立。当初はイントラネット構築、プロバイダー事業などを主な業務としていたが、現在では自社Webサイトを通じて会員相互のさまざまな情報発信や中小製造業の情報化推進などを主な事業としている。
内原社長は「設立以前にHPを作ってはみたが、誰も見てくれなかった。だからたくさんの中小製造業が集まって一つのHPを作れば皆さんが注目するのではと考えた。また他の検索エンジン参照しても、各社がそれぞれのHPを作っており内容が絞りにくいことから、当社では設計、材料、金型などに大きく事業分類する他、品質、設備状況、さらにはどのようなCADを取り扱っているかなどの項目までを一つの固定フォーマットで参照し易いように心掛けた」と話す。
〜会員数や登録条件など〜
現在「EMIDAS」への登録数は海外からの登録も含め5000社以上、先週1週間の新規登録数でも118社を超える勢いで(8月11日現在)ほぼ毎日のように登録社が増えている。特に今年5月にNHKスペシャルで紹介されたときには約400件もの新規登録数があるなど中小製造業において注目を集めている。登録については一切無料。登録条件については資本金3億以下、従業員数300人未満で上場企業が100%出資した子会社でないことが登録条件の目安。またインターネットを積極的に使用し、中小製造業の相互交流をはかり、お互いに活性化させるというエヌシーネットワークの基本趣旨への賛同が必要となっている。ちなみに富山県内の主な市町村別の登録状況を見てみると、高岡市22社、富山市6社、砺波市3社、黒部市1社、小矢部市1社とまだまだ少ないように感じられます。
〜エヌシーネットワークのビジネスモデル〜
同社のモノづくり受注・発注掲示板には、中小製造業における発注したい情報や受注したい情報が掲載され、いわゆる受注側と発注側とのマッチングビジネス。しかしながら、自社のWebサイトを通じて取引が成立しても同社への支払は一切発生せず、あくまでも中小同士の取引拡大と相互協力の推進に徹底している。現在の収入源としてはバナ―広告とモノづくりコンビニやCAD/CAMショールームなどに出展している企業からの収入のみ。内原社長は「今のところは少々厳しい状況、しかし2002年の店頭公開も視野に入れて黒字化を目指す」と今後の展開に意気込みが感じられる。
〜中小製造業の製造情報を発信する「EMIDAS」〜
得意技術や所有設備などが詳細にデータベース化され発注側は目的に合った新規の取引先を簡単に検索することができる工場検索エンジン「EMIDAS」。加工分類,社名、住所、キーワードなど4種類で検索ができる。さらに加工分類検索では設計、から試作、金型、量産の順に組立てまでの工程別にも分かれており非常に検索しやすく、当サイトの目玉的存在である。
検索した結果、一覧表示された企業名から一つを選択すると会社概要からホームページ参照やメールを送ることもでき直接発注側と受注側との交渉ができるようになっている。なかでも工場所有設備のデータにはメーカー名,型式、サイズ、特徴、導入年月までかなり詳細な情報が見やすく掲載されているのが特徴。
〜日本の製造業の伝承技術を伝える「技術の森」〜
日本の製造業の基盤を支えてきた「職人技術」「現場のノウハウ」は工場移転や製造工程のIT化に伴い伝承が難しくなってきている。昔からの日本の製造業が誇る技術をインターネットを通じて蓄積し、その技術を伝承することを目的に公開されている。カテゴリーは製造業種向け19種類に分かれ会員同士の質問、回答がデータベース化されている。
〜これからの中小製造業の経営者の方々へ〜
同社が今年7月に行ったインターネットのビジネス利用状況アンケート調査によれば、会員企業の7割(約280社)がホームページを通じて受注や引き合いあったとしており、さらに年間の売上高では大きいものでは4社が実に5000万円以上の取引を行っていることが判明。これらのことからホームページを含めた積極的なインターネット利用が中小製造業の生き残りに不可欠な状況であることを裏付けている。
内原社長は、「エヌシーネットワークに出資してくれた方々は私をはじめとして30〜40歳の若手経営者(2〜3代目)です。私の世代はゲーム世代。今までCAD/CAMソフトなど新しいソフトが順々に発売されてきても、ゲーム感覚でなんでも挑戦する気持ちで新しい技術に対する抵抗感がないんです。若手以外の経営者の方は高い工作機械は購入するが、使い方が解らない為かそれより格段に安いパソコン1台すら買おうとしない。もっとパソコンを使えるようになって製造業に関するさまざまな情報を捉えて欲しいと思います。」と語る。
エヌシーネットワークは電通国際情報サービス、米スペイシャルテクノロジーの3社によるCADデータ変換 ASP事業で提携を発表、来春リリース予定の電子商取引のインフラ構築、さらには2002年の株式公開を予定するなどの事業展開を計画中です。
今後もさらに会員が増大し中小若手経営者による横のネットワークを展開することで大企業にも匹敵する活力ある企業集団が構築されそうです。
内原社長は来月9月11日(月)に富山県産業情報センターが主催するセミナーに「エヌシーネットワークにみる製造業の取引の現状」や「これからの製造業のネットワーク活用のあり方」についてご講演されます。このセミナーの開催については、その趣旨に賛同し、当eビジネス研究会も協力をしております。詳細につきましては、当研究会HP内のイベント・セミナー情報にも掲載されていますので、ぜひご参加下さい。
「株式会社エヌシーネットワーク http://www.nc-net.or.jp/ 」
(桜井)
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