キミの記憶
主×岳気味な主←岳かな。エンディング後のお話なのでネタバレかな? お気をつけて。
読めば気づくと思うけど、エンディングテーマ「キミの記憶」を元にしてます。
「キミはズルいと思うな」 とてもとても安らかそうな寝顔を見せる君に。 私はそう呟いていた。 「みんな、キミが起きるのをずっとずっと待ってるのに」 彼はずっとずっとまどろみの中にいる。 私たちがかけがえのない記憶を思い出したあの日からずっと。 「早く起きないと、私たち先に卒業しちゃうよ?」 顔を寄せ、彼の顔を覗き込む。規則正しい呼吸、安らかな寝顔。 これ以上無いくらい優しい安らぎに包まれて。 もしかしたら、永遠に続く安らぎかも知れない深い深い眠り。 「でも、いいよね。キミはこの世界を背負ってあんなのと向かい合ったんだから」 誰もが逃げられない『死』に立ち向かったんだから。 ただただ儚く終わるはずだった『世界』を守ったんだから。 「今はただ、ゆっくりと眠っててもいいんだよ」 この世界の誰がなんと言おうと、私は、私たちは見守っていてあげる。 「皆々、ずっとずっと待ってるからね。たとえキミが それでも。 「キミが、ずっと やっぱり寂しい。 「このままずっと眠ったままでも 交差点で聞こえてきたキミによく似た声を聞いただけで、空を見上げてしまう。 そうしないと涙が零れるのを堪えられないから。 「 心が折れそうになる。 でも、大丈夫。もう忘れないこの記憶があるから。 屋久島で。バカやってる順平と一緒に笑ってたキミの笑顔を覚えてる。 荒垣先輩の部屋で。誰にも知られないように、静かに泣いてたキミの泣き顔を覚えてる。 忘れないよ。みんなと一緒だった日常を。 忘れないよ。みんなと駆け抜けたあの夜を。 「ずっと忘れないよ」 かけがえのないときと知らずにいた。 今はただ大切に偲んでいく、眩く輝いてたひとときを。 忘れないよ。 あのとき、確かに私の傍らにいたキミを。 いつだって、私のすぐ横で笑っていたキミを。 「・・・」 寄せていた顔をさらに近づける。 閉じた瞼に唇を軽く触れさせて、私は立ち上がる。 「アイギスには膝枕を奪われたから、これくらいは良いよね?」 ほんの少しの満足。 ほとんど付っきりのアイギスがそろそろ戻ってくる頃。 「じゃあ、帰るね」 キミのいない日常へと。 とてもとても寂しいけれど。 本当は泣きたくなるほど寂しいけれど。 辛くても悲しくても。何かに願うこと、何かに立ち向かう勇気をキミもらってたから。 「だから、行くね」 明日こそ、もう一度キミに逢えると信じて。 ずっとずっと待ちながら、ずっとずっと見守っていてあげるから。 いつまでも いつだって ずっとずっと ◇ ◇ ◇ ◇ -END- |
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延々と流し続けてるP3サントラの『キミの記憶』を聴いてるうちに、「あ、コレってゆかりの言葉にするとピッタリじゃないかな?」と思って、書きたくなったSSです。 ついでに主人公エンディングで安らかに逝くという展開を否定したくて描き始めた代物でもあります。いや、断定されてるわけじゃないけど。でも、アイギスとの会話の雰囲気とか、エンディング歌詞とか聴いてると、どうしても『主人公は『世界』の力を使ったために、徐々に衰弱し、だけど約束の日までは懸命に命を繋いだのち、安からに逝った』という感じを受けてしまって。 ゆかりは、物語前半はヒロイン扱いで、( |