「ピアニスト」

監督:ミヒャイル・ハネケ
出演:イザベル・ユベールなど
観ていてツラくなるというかイタくなるというか、重い作品でした。普段感情を表に出さない故にその心の中は人並み以上の激しい感情を隠していて、しかもそれがちょっと普通じゃない性癖なんだからなおさらだと思う。クールな知性と激しい性欲。エリカにとって特別な存在のシューベルトは美しい曲を書くけど、シューベルト本人はかなり見にくい男だそうでエリカはシューベルトと自分を重ね合わせてるんだろう。それとシューベルトの曲は強弱が激しいそうで、エリカの普段のクールな顔とその下の激しい性欲を表しているんだろう。シューベルトを聴いてみたくなったな。それから母親との関係が問題で、親離れ子離れしてないのも主人公の性格を形成しているんでしょう。相手に欲しがられていた時は感情を表現できず、性癖を教えたら相手が離れていき感情を表現しても振り向いてくれなくなってしまう。上手くいかないけど、しょうがないでしょう。



「光の雨」

立松和平原作「光の雨」の映画化で、小説も読みましたが、劇中劇に上手く設定を変えてありました。学生運動の最中、過激派グループが異常な空気に包まれ、無駄な殺人が行われていく。社会を革命するという目標がいつの間にか、ただグループの秩序を守る事にすり変わる。権力に反抗するはずが自らが権力の亡者になってしまうという皮肉。結局何も変わらないまま事件は終結し、首謀者である人物は身勝手に自殺してしまうというのが情けない感じですね。どうしても閉じた社会になると保身や主導権争い、独裁者の暴走が起きやすいんだろう。



「光の旅人K-PAX」

出演:ケビン・スペイシー、ジェフ・ブリッジスなど
良い映画でした。ストーリーもいいし、主演の二人の演技も素晴らしかったと思いました。特にケビン・スペイシーの演技はさすがに名優といわれるだけのことはあります。K-PAX星から来たというケビンが、ブリッジス演じる精神科医とのやりとりが面白い。宇宙人とは思えないけど、完全には否定できないリアルさがケビンの話にはあって、これはケビン・スペイシーの演技無しにはこの面白さを表現するのは難しいと思います。ケビンの最後は悲しい終わり方でしたが、エンドロールが終わってブリッジスが望遠鏡で空を眺めていたのがよかったですね。



「ビッグ・ヒット」

腕はいいが、お人好しの殺し屋が元恋人にせがまれたお金を調達するために日本人実業家の娘を誘拐するが、間が悪い事に実業家が破産し、お金がない。しかも娘の名付け親が殺し屋のボスだったのも運が悪かった。おまけに仲間はボスに誘拐の事を聞かれるとすぐに裏切るし。とにかくやる事なす事が上手く行かないちょっと間抜けな主人公です。この映画はいろいろと小技が効いてるし、楽しい作品でした。



「ビッグ・リボウスキー」

出演:ジェフ・ブリッジス、スティーブ・ブシューミなど
ボウリングばっかりやってる冴えないビッグ・リボウスキーがお金持ちのリボウスキーと間違われいろんな災難に巻き込まれるという映画です。時々シュールなシーンがあったりとなぜか何回も見たくなる不思議な作品でした。



「ピノッキオ」

ロベルト・ベニーニ主演の童話を映画化した作品です。たしかディズニーアニメであったと思いますが、この作品はなんと実写でロベルト・ベニーニがピノッキオを演じるという画期的?な作品です。おじさんのベニーニがピノッキオを演じるというのはちょっと引きそうですが、そこは芸達者なベニーニの事、上手く演じています。でも、やっぱり引いてしまうなぁ。童話の中のピノッキオはわがままだけど愛らしいというイメージがあったんですが、この映画の場合、この映画の中のピノッキオはホントにうざったく大バカ野郎って感じで記憶の中のピノッキオとは違いました。ゼベットジイさんもピノッキオに助けられた後は、ピノッキオに頼りっきりで助けられて当然といった感じで、あれっ?っと思いました。それとユースケサンタマリアの吹き替え何とかならなかったのか?
(2003/3/25)



「ひまわり」

出演:麻生久美子、袴田よしひこなど
なぜ死んだか、なぜ海にいったか。
麻生久美子が何を思っていたか。
夜に咲くひまわり。どこを向いていいか分からないひまわり。初恋の淡い想い。子供の頃の切ないノスタルジー。切ないな。麻生久美子。素晴らしい。



「秘密」

出演:広末涼子、小林薫、岸本加世子など
交通事故で母親(岸本加世子)が亡くなり、娘(広末涼子)に魂が乗り移ってしまう。父親(小林薫)は戸惑い、悩む。まぁ、普段の生活はいいとしても、夜の営みは、肉体が娘だからやっぱり出来ない。そりゃそうだ。途中娘の魂がかわるがわる出てくるが、最後にどんでん返しが。まぁ、アイドル映画の感が拭えない感じがするけど、なかなかのもんじゃ無いだろうか。



「ヒューゴ・プール」

出演:アレッサ・ミラノ、ロバート・ダウニーJr、ショーン・ペンなど
なかなか面白い作品でしたが、ちょっとねらい過ぎというか、演出がしつこい感じもしました。もうちょっとサラッとしていた方がシーンが活きるような気がします。似たような映画では「ホテル・ニュー・ハンプシャー」とか「ガーブの世界」なんかもありますがこれらは鼻につくようなところがありません。そういった意味ではちょっと勿体無い感じがします。もっと押さえるところは押さえ、メリハリをつけた方がテンポよく見れたと思います。しかしこの映画、豪華キャストです。そんなに予算的に恵まれた感じはしないんだけど、それでもこれだけの俳優が集まるというのは、やっぱり俳優の層があついんでしょうか。



「ビヨンド・サイレンス」

親子の愛を描いた作品です。ろうあの両親から産まれた音楽の才能が溢れる子供。なんと皮肉なんでしょう。耳が聞こえないが為にかたくなに自分の世界にこだわり素直に子供の将来に応援出来ない父親。小さい頃から親の耳になり負担に感じている子供。それでもお互いに愛があり、葛藤し、心が離ればなれになっていく父親と子供。しかし、最後に父親が心を開き子供の音楽を理解しようとするシーンが感動しました。この瞬間、子離れし、子供が自立したんでしょう。この映画、あんまりお涙ちょうだい映画ではなかったのがよかったです。それと音楽が素晴らしかったです。



「HERO」

ストーリーはメロドラマ的な情緒があるもので、秦の始皇帝が始皇帝と呼ばれる前の話です。一人の暗殺者が身分を隠し、始皇帝の前に現れます。3人の名うての刺客を葬り去ったといい、始皇帝の間近まで近づく事が出来ますが......。この映画はストーリー等々より映像美が見物で見事なものでした。ワイヤーアクションを多用したアクションシーンもきれいですし、俳優もとても良かったです。
(2003/8/25)



「ピンポン」

面白い映画でした。ストーリー的には割りとよくある青春ストーリーですが、何と言ってもそれぞれのキャラクターが良くてリズミカルに進んでいくんで気持ち良く観れました。昔この原作漫画を読んでましたが、その雰囲気もよく出ていたように思います(昔読んだっきりですからもしかしたら全然違ってるかもしれませんが)。キャラクター的にはスマイルに一番シンパシーを感じますが、凡人の自分にはアクマの気持ちがよく分かるし、ペコにいった一言もよく分かったりします、残念ですが。この辺りはちょっとジ〜ンときました。それとペコがドラゴンとの試合で昔の気持ちを思い出したところもちょっと感動しました。