例会・研究会ダイジェスト 【講演】
「モール運営業者からみたeビジネス」
eビジネス:ヒントは「情報流通」!?
株式会社メタマート 代表取締役社長 小川君男氏

メタマート設立までの略歴

 本日は本に載っているようなことではなく、私が経験したこと、そして私のサービスを使っていただいている会社の具体的な事例をお話させていただきます。

 まず、略歴からご説明します。私はインテックに籍があります。1985年に通信が開放されて、民間も参入できるようになったわけですが、86年から私はインテックで企業向けのネットワークを作る仕事をしていました。ところで94年の1月から椎間板ヘルニアを患いまして、3ヵ月入院いたしました。4月にコルセットを着けて会社に出社しましたところ、ゴールデンウィークにアメリカに行ってこ来いと言われました。アメリカンオンラインが日本進出を希望しているということで、三井物産が手を挙げまして、技術者として私がお手伝いすることになりました。当時日本では、パソコン通信というとニフティの文字が出るものでしたが、アメリカンオンラインでは、パソコン通信なのにすでにブラウザを使っていました。モザイクの前のことです。その時「情報処理業者がいつまでもインフラをやっていてはダメだ。これからはコンテンツの時代だ」と実感し、3ヵ月間寝ていても変わらなかった人生が、1週間で変わりました。一人一人をちゃんと見据えたビジネス、しかも「売るのは情報」という分野に入っていこうと思ったのです。

 95年、三井物産の支援を受けて、ショッピングモール「AAAmart」をスタートし、30社集めてネットショップを始めました。しかし時期尚早で、売れない売れない。当時は、お客様に提案にまいりましても、「インターネットとは」という説明を50分しまして、最後の10分で「負担がありませんから、出店してみませんか」とお話していたものです。いろいろ反省し、それでもインターネットを使う以上、「情報」を流すことはスタートとして正しいだろうと考え、「情報流通」を扱う仕掛け、つまり電子空間場に市場を作って、売りたい人と買いたい人に集まってもらう場を作ってみようと思いました。ECという言葉も普及していませんでしたが、事業計画を提出しましたら、インテックの「ニュービジネスチャレンジング制度」に通ってしまいまして、お金を出していただくことになりました。

 こうして97年に(株)メタマートが設立し、現在では、63のサイトのデジタルコンテンツを中心に扱い、「電子市場」をサービス名としてショッピングモールを開いています。登録者は3万人を超えました。昨年の10月からメタマートでも物品販売を始めまして、今年は2.7億円の売上を予定しています。

メタマートのビジネスモデル

●オンライン決済センター
 メタマートのビジネスモデルは、オンライン決済センターという機能と、EC・ASP事業者としてのふたつの機能を持っています。お金を回収する決済の方法としては、クレジットカードを利用していただきます。私が仕事を始めた97年の前半まではクレジットカードをネットワークで通すと危ないということで、クレジット会社自体がOKしませんでした。97年後半から急激に変化し、今では8社と契約しています。この夏からはプリペイド、コンビニ決済を始め、来年には決済銀行などもお金の回収手段として使わせてもらうことになります。ネット上でクレジット決済をやるとすると、クレジット各社と加盟店契約を結ばなくてはならない。CAFISというネットワークにつないだり、システムを開発したり、決済サーバーを買ったりと費用がかさむのですが、メタマートのサービスを使うと、お客様は8%のマージンで、クレジットカード、プリペイドカードをはじめ、今後ふえてくるあらゆる決済手段に対応できることになります。

 昨年、情報処理技術者試験を運営している協会から、試験の申込と料金の回収をオンライン管理できるかという相談を受けました。インターネットで登録すると、協会が端末をたたいて会員登録する必要がなくなるわけです。10%の手数料がとられても十分だといういい方をされていました。ちなみに情報処理試験は来年3月からネットで申し込みが可能になります。このほかにある芸能プロダクションからは、ファンクラブの会員費用をクレジットカードで回収できないか相談を受けています。申し込みと振り込みの手間が一度に済み、継続もeメールで伺いをたてるだけで済みます。ネットで申し込まれても、実際に振り込まれるのは約半分です。申し込んだ時点でお金が入れば、マージンも高くはないと言っていただいています。全国規模の会員の申し込みは、今までコールセンターを使うパターンがよくありましたが、、設備も人もかかり、昼間しかできません。インターネットですと、24時間対応で、しかも安い。これから入会申込はインターネットがますます多くなるでしょう。

●デジタルコンテンツ販売者支援サービス
 メタマートではこうしたオンライン決済機能とともに、デジタルコンテンツのセキュリティ、誰がいつ何を使ったかを明確にする課金するシステムなど、ASPというサービスも、+αの手数料で提供しています。

 8月から始めるサービスとして企業情報を提供します。大手では、日経テレコンと日経リサーチの2社が企業情報を提供していますが、私たちは差別化を考えました。例えばインテックは日経テレコンを使わせてもらっていますが、毎月数十万円かかっています。その40%の料金はID料金といいまして、パソコン通信の設備費、代理店手数料などが情報を使わなくても取られてしまいます。インターネットで動かせば設備は非常に小さくて済むわけです。メタマートでは、帝国データバンクの情報を使う場合には、直接そのデータベースからダウンロードし、データベースはメタマートにはないことで、設備を小さくし、ID料金をかけません。ポイント制を導入することで、実質的には10%程度のディスカウントを実現しています。インテックの場合、日経テレコンからメタマートにサービスをかえると、毎月半額の料金で使えるようになります。インターネットの使い方としては何も変わっていませんが、ビジネスの仕掛けを工夫しているのです。

●登録者の17%が電子市場で毎月買い物

 デジタルコンテンツとして、コンピュータ占い、競馬の予想、ネットカラオケなどを提供しています。ネットカラオケはかなり人気で、新曲が180円、それ以外は120円で、カラオケボックスより早く、CDが出ると同時に新曲が追加されます。デジタルコンテンツは、登録者の17%程度が毎月買い物をして、ヘビィな人になりますと占いだけで月額10万円くらい買う人もいます。モノの販売で売上が伸びないというのはリピートがないということ、固定客がなかなかつかないということです。私どもは二十数個のショップで物を売っていますが、リピートがあるのはワインくらい。実際、ネットショップはまだまだ難しいところがあります。楽天には今2700ほどのショップがあり、だいたい一月に400店舗入っては、その半分少々がやめていると言われます。1店舗あたりの平均は30万円〜40万円ぐらいで、100万円以上売れているのは1割、全く売れていないのも1割、月5万円以下が4割もあるそうです。

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