例会・研究会ダイジェスト 【Part2】
携帯電話の可能性(2社事業紹介)
株式会社NTTドコモ北陸 富山支店長 尾野 昭夫氏

 ビデオでは10年後をご紹介していましたが、さて、10年前を思い出してみますと、パソコンのように大きな携帯電話を使っていたわけで、それが今ではポケットに入って、ネットに繋がってる。当時は想像できなかった世界です。ですからこれからの10年は、従来の50年に匹敵するスピードで変わっていくのではないかと考えています。

 昨年の2月にiモードがサービス開始され、現在全国で950万、北陸で24万、富山県で7万台の契約をいただいています。携帯市場全体で考えますと、PHSを加えて携帯電話は全国で6000万台を超えています。iモードの普及率は全国で30%、北陸では35%に達してます。

 何故急速にiモードが伸びたのか、これをユーザ、コンテンツプロバイダ、そして私どもキャリアの3つの立場から考えてみましょう。市場としては、アメリカに遅れていたインターネットの普及が急速に伸び、もっと簡単にネットに接続できないかというユーザーのニーズがあったと思います。ポケットベルが4年ほど前に急速な勢いで伸び、使っていた世代はゲームにも馴染みがあって、iモードの普及の素地になっています。子供の可処分所得の中で、携帯電話の通話料が占める割合が一気に増えたと言われています。「常に誰かと繋がっていたい」「自分のあいている時間を埋めい」という心理がiモード需要を支えているように思います。

 さてコンテンツを提供することを考えた場合、「女性が週刊誌を買う時にはせいぜい300円程度しか払わない」という心理をつかんで、iモードの基本使用料は300円といたしました。コンテンツ料金は通話料と一緒に回収する「料金回収代行」という方法で行っています。コンテンツプロバイダーさんには、ユーザーさんではなくドコモから料金を支払うシステムとしました。プロバイダーにとっては取り漏れがないという安全性から、コンテンツが増えていったこともiモード普及の要因といえます。

 またキャリアとしてドコモでは、「インターネット」という言葉をiモードの拡販において使わない戦略をとりました。技術の裏側にインターネットがあったとしても、iモードを普及させることにおいて、インターネットという言葉のアレルギーを排除したかったのです。言語は世界標準のWAPにするか、HTMLにするか迷ったのですが、HTMLに近い方式(簡易HTML)で始めました。この方式にはすでにホームページを持っていらっしゃる方やプロバイダーの方が簡単にコンテンツを送ることができるというメリットがありました。

 一方、今年度中に、データ通信トラフィックが音声トラフィックを超えるであろうという予測があります。そこでデータ通信に対応させるために、繋ぎっぱなしでも、情報量に応じて課金する「パケット通信」を採用いたしました。なお、7月からは従来型(20X)の209シリーズの携帯電話もすべてiモードを搭載しています。

 将来的にはJAVAを搭載したシリーズで、セキュリティ機能を高めていく方針です。iモードでイントラネットとして業務用に使っていらっしゃる方にとっては安全性が高くなります。またゲームをダウンロードして、携帯電話でスタンドアロンとして楽しめるようにしていきたいと考えています。いよいよ来年の5月からIMT-2000が登場します。東京を手始めに、その秋には大阪、名古屋、そして富山では2003年の春からスタートの予定です。

 なお、さきほどの2010年のビデオはIMT-2000の次の世代すなわち第4世代の開発が終わる時期のモバイルの世界をイメージしています。

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