百鬼夜行 二重の絆
序章
クライ・・・・・。
ココハ、トテモ、クライ・・・・・。
ココハ、トテモ、サムイ・・・・・。
ココハ、トテモ、サビシイ・・・・・。
ココハ、ココハ、ココハ、ココハ、ココハ、トテモ、トテモ、トテモ、トテモ、トテモ・・・・・・・・・・。
ダレカ・・・・・・ボクヲ・・・・・ワタシヲ・・・・・オレヲ・・・・・。
アタタメテ・・・・・・。
ピピピピピピピピッ。
「・・・・・・うるさいなァ」
あたしは、頭の上の方にあるはずの目覚ましの、耳障りな音を消すために、布団の中から、右腕を出した。
ピピピピピピピッ。
おかしい。10秒ほど枕のまわりを、腕が左右と動いているが、目的の物―――黒猫の目覚し時計―――を、見つけられないでいる。
「・・・・・・・・・・・・・・」
布団から這い出て、あたりを見回すと、ベッドからはるか離れた場所に、目覚ましがあった。多分、寝返りか寝ぼけたかで、ベッドの上から、放ってしまったんだろう。よく壊れなかったもんだね。
「はいはい・・・・・。今,止めますよ」
カチッ。
黒猫の右耳を軽く押すと、寝ぼけた頭の中にガンガン響いていた音が止まる。
‘AM4:30,
カーテンの隙間から見える窓の外は、まだ夜の闇が白んできたばかりだ。
「・・・・・・変な夢?」
ふと、自分が夢を見ていたことを思い出す。なんだか、とても悲しい夢。でも,ぜんぜん内容を思い出せないなァ。まあ、夢なんて、そんなもんでしょうけど。
さて、ロードワークに出かけますか。花も恥らう女子高生だってのに、無駄なほど健康的に生きてるよなァ、あたし。
葦鳳 壱姫(あしどり いつき)。
県立鵬鳴高校普通科2年A組。
1982年1月25日生まれ。水瓶座のO型。
部活無所属で、図書委員。
好きな食べ物は、ピザと塩ラーメン。嫌いなのは、辛いもの全般。
趣味は、スポーツ全般、体動かせりゃ、満足。あとは、格闘ゲームかな。
これが、あたし、葦鳳 壱姫のプロフィール。今は、日課である、朝のロードワーク真っ最中。
何の因果か、武術道場の一人娘として生まれつき、小さいころから、剣術の鍛錬ばかりの毎日を送ってきた。おかげで、ダイエットする必要なく、自分でいうのもなんだが、体鍛えている割には,プロポーションには自身がある。顔も,母さん似だったおかげで、それほど悪くはないはずだ。
だけど、花の高校生活を、『えんじょい』してるとは,言い難い。なにが悲しくて、『鵬鳴一の武闘派少女』なんて、呼ばれなきゃなんないのよ。
・・・・・・・まァ、確かに、不良相手に大立ち回りなんて、日常茶飯事だけど・・・・・・。
ああ、いい忘れてた。
あたしは、学生ながらに、ある特殊な仕事をしている。さっき、剣術道場の一人娘っていってたけど、あたしの家には、他の普通の剣術にはない、要素がある。
それは、《破邪》の技。魔を断ち、鬼を屠る技。
私は、数少ない現役高校生の退魔師というわけ。
「・・・・・・・・」
俺は、春の陽気が照る通学路を、陰気な面持ちで歩いていた。
今日もあの夢を見たからだ。これで何十回・・・・・いや、何百回か? まァ、いい。
気分が滅入る。今日から、鵬鳴高校に転入だってのに、何なんだろうなァ。
・・・・・・・なんか、悪いことでも起きなきゃいいけど。
昔からそうだった。あの夢を見た日は、異様についてない。
おッ? あれが、鵬鳴高校だな。
・・・・・・・ここに、あいつがいるのか。
秦 九十九(はた つくも)
県立鵬鳴高校普通科2年D組。
1981年6月12日生まれ。双子座。
部活・委員会、いまのところ無所属。
好きな食べ物は、甘いもの全般、特にチョコレート関係、嫌いなものは、特になし。
犬が苦手だな。趣味は、昼寝。
こいつが、秦 九十九、つまり俺のの今んところのプロフィール。なぜ、《今んところ》なのかは、秘密。
今まで、北陸の方に住んでたんだが、ある事情により、ここ県立鵬鳴高校に転入することになった。
このあたりは、有名な退魔師の家系にある家が多いため、この高校には、退魔師、あるいは退魔師見習が多く通っている。
それだけじゃない。ここは色々な、いわゆる心霊スポットとよばれるところが多く存在する。退魔師関係の施設や家系が多いのも、少なからず関係しているようだ。
・・・・・やっぱり、嫌な予感がする。いや、嫌な予感以前に・・・・。
PM2:14
・・・・・遅刻どころの話じゃないな。転校初日に。
「よォ」
クラスメートの男子に軽く挨拶を返し、自分の席につく。
教室の隅に集まってる女子たちが、今日このクラスにくる転校生のことを話している。
男子だって? かっこい〜人かなァ、とかいってるな。
来るのが男ってことで、半数の男子は興味を失ってるな。それでも、転校生のことを話題にしてるグループはいる。
と、チャイムが鳴ったな。
ガラッ。
チャイムと同時に、担任の柳 和音が入ってくる。いつも正確に入ってくるよな。この先生は。
ん・・・? 転校生の姿が見えないな。廊下にいるのか?
「えー、今日は転校生を紹介するはずでしたが・・・・・、その転校生が遅刻をしたため、できません」
は?
「ですから、転校生が着き次第、その授業の先生に紹介してもらうので・・・・」
転校生が遅刻? 聞いたことないぞ、そんな話。
腕魏 千夜(かいなぎ せんや)
県立鵬鳴高校普通科2年D組。
1981年7月1日生まれ。蟹座。
部活無所属。委員会は保健委員。
好きな食べ物は、ピザ、特にチョコレート関係、嫌いなものは、セロリ。
趣味は、トレーニングと文庫本を読むことだ。
これが、俺のプロフィール。付け加えるなら、俺は、この高校に数人いる学生現役退魔師の一人だ。A組の葦鳳壱姫とは従兄弟にあたる。
そういや、壱姫の姿をみかけなかったな。また、ロードワークに出かけたまま、遠くにいったか? あいつ時々、他のこと考えられなくなるからな。
この前だって、喧嘩の仲裁に入ったはずが、いつのまにか、ガラの悪い他校生たちと大立ち回りの大喧嘩。まき込まれるこっちの身にもなれってんだよ・・・・・。
ありゃあ、絶対仕返しにくるぞ・・・・・。ま、よっぽどのことがない限り、あいつが素人に負けるとはおもわんが。
俺や壱姫は、いくつかの流派にわかれる古武道を修める一族の家系だ。無手術、剣術、棍術、槍術、扇術にわかれる。
俺の家系は槍術、壱姫の家系は剣術を代々伝えている。
そういえば、ここしばらくあいつと稽古してないな。今度、あいつの家にいって、ひさしぶりにやるか。
と、いつのまにか、HRがおわってる。最初の授業は、科学だったな。
注・・・
世界観は、妖怪、妖魔といった異形の者たちが存在するパラレルワールド。
そこで活躍する、霊能の力を持った退魔師たちのお話です。
うろ覚えと、どっか他から持ってきたような知識で構成されてますから、パクリだッ、といわれても、ぐうの音も出ません。
特に、「GS○神」や、「○ビデビ」・・・・・・自分で墓穴掘ってるかな、これ?
どうか、菩薩のような底無しの優しさを持って、お読みください(その前に、読む人いるのかな?)